【波動】笛と定在波

2019年6月12日

笛から出る音について考えるとき、笛の出口が波の腹になるような定在波を考えるのはなぜなのか。

笛の音を出すときは、笛の吹く側で息を流し込んで空気を振動させ、その振動が出口に向かって伝わって進行していくわけです。

そうすると、別に、どんなランダムな波長の波だって、笛の出口まで届いて、そこから音が出るんじゃないか。じゃぁ、波長の条件なんかなくて、ランダムな様々な波長の音が出て、出る音は波の重ね合わせでカオスな音が出るのか…。

違います。

エッセンスからいうと、口側から出た振動は、出口に向かい、そこで反射されて戻ってくるのです。閉じた壁から反射されるならよくわかるが、開いている出口で反射されるというのは一見違和感がありますが、しかし音の振動は開いている出口でも反射されるのです。出口から音がでる、という発想が間違いでした。空気の振動は出口で反射され、またそれが口側に戻りそこで反射され、それを「繰り返して」増幅します。それが共鳴です。音は共鳴箱である笛全体から発せられることになります。ただしその際、共鳴箱の中の定在波の節に当たる部分が圧力変化が大きく効果的に強く振動します。また、波長の条件を満たさない中途半端な波は増幅されません。そして、波長の条件が満たされた波だけが増幅され、それが笛から発せられる音なのです。

入射波と、それの一回目の反射波だけを重ね合わせることをイメージしてしまうと、条件なんか関係なくなんでも増幅される?みたいになって波の重ね合わせというのが一体何のためにやっているのかがよくわからなくなってしまいますが、そうではなくて、笛から出る音は、反射波の反射波、その反射波…とすべての反射波が共鳴して増幅される結果なので、ならば、それらの共鳴の条件は、笛の両端が節や腹となって、笛の中のすべての反射波の波の腹が重なり合うような(位相があう)特別の場合にしか成り立たないことが理解されるでしょう。

それが笛の仕組みです。笛に限らず楽器の音色つまり共鳴音は、空気の振動が反射を繰り返して増幅される仕組みから来ています。

となれば、笛の出口で腹になり、口側で節となるような波を考える理由はわかります。

笛の出口は開いているので、音の振動(波)にとって、自由端に当たります。笛の口側は固定端になります。自由端と固定端での波の反射の仕組みはほかに譲りますが、http://wakariyasui.sakura.ne.jp/p/wave/housoku/koteijiyuu.html

口側が閉じ、出口側が開いた笛の構造では波にとって、口側が固定端で、出口側が自由端となり、そこに発生する定在波の形は、口側が節、出口側が腹となるのです。この点は、\( y=sin 2π( \frac{x}{λ} – ft ) \) のような波の表式を使った進行波と反射波の重ね合わせの方法を使って理解できるでしょう。

定在波は、波長の条件が整った進行波が反射を何回も繰り返し、その反射波が重なり合わさって増幅(共鳴)された結果生じる波です。口元で発生させる小さい振動がこのプロセスで増幅される結果、笛の音となって聞きとれるほどになるのです。一方、波長の条件の整わないほかのランダムな様々な波は、増幅されることもなく互いに打ち消しあったりして、ほとんど音に寄与しません。ここで考えたのは結局、笛の、ドとかレとかの音が出る仕組みなので、ランダムな波についてはその仕組み(共鳴の仕組み)とは関係がなく無視してよい事柄になります。

 

ということで、笛の音を考えるとき、出口が腹にあたる定在波を考えるのはなぜか、ということでした。

 

 

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