【相対性理論】\( E=mc^2 \)

2019年3月14日

相対性理論でもっとも有名な、\( E=mc^2 \) の公式を導いてみましょう。

具体的に導出の手順に入る前の最初の部分で、相対性理論の教科書ならどれにでも最初のほうに出ていそうな基本的な定義のようなことなど、ちょっとここに書くには無駄かもしれないことがたくさん書いてありますので、分かる人は軽く読み流すのも可です。

さて、いきなり、

\[ f^{\mu} = \frac{dp^{\mu}}{d\tau} \]

という相対論的な運動方程式からはいります。一応簡単に説明はしますが、ここまでは(特殊)相対性理論の本を読んで学んでください。右辺の \( p^{\mu} \) も \( \tau \) も定義済みのものであるのに対し、\( f^{\mu} \) は未知のものなので、これは \( f^{\mu} \) というものの定義であるとみることもできます。\( F=ma \) の場合でもこれは運動方程式であると同時に \( F \) というものの定義でした。「力」が強い弱いというのは我々の日常で感じることであっても、それを数式的に定義したものはこの定義以前にはなかったのです。

 

以下、上式の、\( f^{\mu} \), \( p^{\mu} \), \( \tau \) のそれぞれについて。

4元力 \( f^{\mu} \)

\( f^{\mu} \) は相対論的な力(4元力)を表し、\( p^{\mu} \) は相対論的な運動量(4元運動量)、\( \tau \) は固有時間というものを表しています。とはいうものの、\( f^{\mu} \) の物理的意味はニュートン力学での力 \( F^i \) のように直感的にわかりやすいものではありません。

 

固有時間 \( \tau \) と添え字 \( \mu, \nu \)

固有時間というのは、例えば飛んでいるボールについて運動を考察する際であれば、ボールと一緒に運動する時計、すなわち、ボールに時計がくっついていてその時計の表す時間です。これまで使っていた観察者の時間 \( t \) に対して、相対論的な運動方程式では運動しているものの系で過ぎていく時間である固有時間 \( \tau \) が現れます。

また、添え字の \( \mu \) は、0 \( \sim \) 3 の数字を表し、時間 (\( \mu= 0 \)) と3つの空間座標 (\( \mu= 1, 2, 3 \))を意味します。これまでよく使ってきた非相対論的な運動量、\( p^{i} \) では、\( i \) は 座標軸を表す 1 \( \sim \) 3 の数字でしたが、相対論の場合は、\( \mu \) を用いて、3つの空間座標と、それに加えて時間座標を表すのです。これ以降でてきますが、 \( \nu \) も 0 \( \sim \) 3 を表す添え字です。場の量子論などでも相対論的表記が出てきますが、相対論がでてくるところでこれら \( \mu, \nu \) が 0 \( \sim \) 3 を表す添え字であることは当然のこととして扱われます。

4元運動量 \( p^{\mu} \)

4元運動量 \( p^{\mu} \) も 非相対論的な運動量 \( p^{i} \) と異なり、その定義は、

\[ p^{\mu} = mu^{\mu} = m\frac{dx^{\mu}}{d\tau } \] です。

\( u^{\mu} \) は4元速度と呼ばれるもので、この式からもわかりますが、\( u^{\mu} = \frac{dx^{\mu}}{d\tau} \) という定義です。通常のニュートン力学での速度は \( v^i = \frac{dx^i}{dt} \) です。

添え字として 0 が出てきたところで、\( x^1, x^2, x^3 \) は観測者の系における座標ですが、\( x^0 \) だけ新たな変わり種です。第0成分とはどういうことでしょう?

\( x^0 \) の定義は、\( x^0 = ct \) です。観測者の時間 \( t \) と、物体とともにある時間(固有時間) \( \tau \) には 、有名な、動いているものは時間が遅れるという、\( d\tau = dt/\gamma \) の関係があり、よって、\( u^0 = \frac{dx^0}{d\tau} = \gamma \frac{d(ct)}{dt} = \gamma c \) となります。計算すれば、\( u^i = \gamma v^i \)。4元速度 \( u^{\mu} \) に対して \( v^i \) は通常の速度。\( \gamma \) はローレンツ因子で \( \gamma = 1/\sqrt{1-(v/c)^2} \)

(…解説A)

 

さて、そしていよいよ、\( E=mc^2 \) の導出に入りましょう。

\( E=mc^2 \) を得るには、ここまでで出てきた、\( u^{\mu} \), \( f^{\mu} \) を使った量である、\( \eta_{\mu\nu}u^{\mu}f^{\nu} \) という量を考察します。これは、速度 \( u^{\mu} \) と 力 \( f^{\nu} \) の内積です。ニュートン力学の、\( u \cdot F \) という、何となく見たことのある量つまり、エネルギーの考察で大切な、仕事率にあたるものです。

考察とはいっても、実際それは、単に、\( \eta_{\mu\nu}u^{\mu}f^{\nu} \) を計算するだけで、\( E=mc^2 \) を導くことができます。

 

Left Caption

シロ

計量テンソル \( \eta_{\mu\nu} \) の説明

わかっている人は飛ばして結構です。知らない人は特殊相対性理論を最初から読んでみてください。

\( \eta_{\mu\nu} \) は、”ミンコフスキーの”計量テンソルと呼ばれるものです。\( g_{\mu\nu} \) は一般的な計量テンソルの表記としてよく使わます。

\[ \eta_{\mu\nu} = \left( \begin{array}{cccc} -1 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array} \right) \]

 

相対性理論においてもっとも基本的な不変間隔の式、

\[ ds^2 = -(dx^0)^2 + (dx^1)^2 + (dx^2)^2 + (dx^3)^2 \] を簡潔な形に表現しようとしたのが、この \( \eta_{\mu\nu} \) を用いたテンソル形式の表現、

\[ ds^2 = \eta_{\mu\nu}x^{\mu}x^{\nu} \]

です。特殊相対論のミンコフスキー時空では、計量は、上で具体的に書き下した \( \eta_{\mu\nu} \) のように対角化された”ミンコフスキー計量”となりますが、一般相対論では複雑な形になり、1 からもずれます。また、上の例でいえば、\( ds^2 \) は \( ds^2 = \eta_{00}(dx^0)^2 + \eta_{11}(dx^1)^2 + \eta_{22}(dx^2)^2 + \eta_{33}(dx^3)^2 \) と書くことができ、つまり \( \eta_{\mu\nu} \) は距離を決める基本的な要素であることから、計量と呼びます。

これも相対性理論の本であらかじめ学んできてほしいことですが、テンソルの計算の際には(アインシュタインの)縮約の記法が用いられます。上にも表れたものですが、

\( x^{\mu}x^{\nu} \) はただの何の変哲もない \( x^{\mu}x^{\nu} \) ですが、

\( \eta_{\mu\nu}x^{\mu}x^{\nu} \) のように、同じ添え字が2か所以上にあらわれたときに、和の記号 \( \Sigma \) はついていないけれども、\( \Sigma \) があるときと同じように和をとるという規約です。簡潔のために \( \Sigma \) を省略したということですね。

例えば、\( x^{\mu}x_{\mu} = x^{0}x_{0} + x^{1}x_{1} + x^{2}x_{2} + + x^{3}x_{3} \) のようになります。

\( \eta_{\mu\nu}x^{\mu}x^{\nu} = \eta_{00}x^{0}x^{0} + \eta_{01}x^{0}x^{1} + \eta_{02}x^{0}x^{2} + … \) です。

わからなくなったら \( \Sigma \) を付けて考えればいいし、まぁ慣れなのかもしれませんが、テンソルのこれらのことというのは、とにかく \( \eta_{00}(dx^0)^2 + \eta_{11}(dx^1)^2 + \eta_{22}(dx^2)^2 + \eta_{33}(dx^3)^2 \) というようなものを扱いたくて、\( \eta_{\mu\nu}x^{\mu}x^{\nu} \) のように簡潔に表記するために、あみ出された数学的技巧にすぎません。

テンソルとは、\( \eta_{00}(dx^0)^2 + \eta_{11}(dx^1)^2 + \eta_{22}(dx^2)^2 + \eta_{33}(dx^3)^2 \) というようなかたちのものを扱いたかった、それには添え字のついた係数を使わなくちゃいけない、添え字のついた係数のような数学を新たに作って、そういうものをテンソルと呼んだ…。

 

\( E=mc^2 の導出 \)

とにかく、\( \eta_{\mu\nu}u^{\mu}f^{\nu} \) という相対論における仕事率を考察、あるいはもっと砕いていってしまえば、単に”計算”すると、\( E=mc^2 \) を導くことができます。

イメージのために書いておけば、\( \eta_{\mu\nu} \) が対角成分しか持たないのであるから \( \eta_{\mu\nu}u^{\mu}f^{\nu} \) を展開するのは簡単で、\( \eta_{\mu\nu}u^{\mu}f^{\nu} = -u^0f^0 + u^1f^1 + u^2f^2 + u^3f^3 \) です。内積といった意味が明確になったと思います。

 

それでは再度、いよいよ \( E=mc^2 \) を導きましょう。

まず、\( \eta_{\mu\nu}u^{\mu}f^{\nu} = 0 \) であることが計算できます。それを示しましょう。\( f^{\nu} = m\frac{du^{\nu}}{d\tau } \) だからこれを \( \eta_{\mu\nu}u^{\mu}f^{\nu} \) に代入すれば、

\[ \eta_{\mu\nu}u^{\mu}f^{\nu} = \eta_{\mu\nu}u^{\mu}m\frac{du^{\nu}}{d\tau } = \frac{1}{2}\eta_{\mu\nu}m \frac{d(u^{\mu}u^{\nu})}{d\tau} \]

テンソルになじみがないとにわかにはわかりませんが、最後の等式は、\( \eta_{\mu\nu} \) が \( \mu=\nu=0, \mu=\nu=1, \mu=\nu=2, \mu=\nu=3 \) の時しか値を持たない、対角成分しか値を持たないことからわかっていただきたいと思います。そうでなくても、テンソルの対称性( \( \eta_{\mu\nu} = \eta_{\nu\mu} \) )からも成り立ちます。少し頭を悩ませてみてください(本記事最下部に考え方をおまけに書きました)。\( u\frac{du}{d\tau} = \frac{1}{2}\frac{d(u^2)}{d\tau} \) の感覚です。見栄えがするので \( \eta_{\mu\nu} \) は微分の外に置いてあるだけで、

\[ \eta_{\mu\nu}u^{\mu}f^{\nu} = m\frac{\eta_{\mu\nu}u^{\mu}du^{\nu}}{d\tau } = \frac{1}{2}m \frac{d(\eta_{\mu\nu}u^{\mu}u^{\nu})}{d\tau} \]

とした方が正確です。この最後の等式の中の \( \eta_{\mu\nu}u^{\mu}u^{\nu} \) は、解説A のところで述べたように \( u^{\mu} を v^{i} \) で表したものを代入して変形していくと、\( \eta_{\mu\nu} \) は対角成分しかもたないから簡単に計算できて、

\( \eta_{\mu\nu}u^{\mu}u^{\nu} = -(u^0)^2 + (u^1)^2 + (u^2)^2 + (u^3)^2 \\ \ \ \ \ \  \ \ \ \ \ \ \ \  = \ – (\gamma c)^2 + (\gamma v^1)^2 + (\gamma v^2)^2 + (\gamma v^3)^2 \\ \ \ \ \ \  \ \ \ \ \ \ \ \  = \ – \gamma^2 c^2(1-v^2/c^2) \\ \ \ \ \ \  \ \ \ \ \ \ \ \  = \ – \gamma^2 c^2 / \gamma^2 \\ \ \ \ \ \  \ \ \ \ \ \ \ \  = -c^2 \)

となるので、

\[ \eta_{\mu\nu}u^{\mu}f^{\nu} = \frac{1}{2}m \frac{d(\eta_{\mu\nu}u^{\mu}u^{\nu})}{d\tau} = \frac{1}{2}m \frac{d(-c^2)}{d\tau} = 0 \] となります。

こうして、\( \eta_{\mu\nu}u^{\mu}f^{\nu} = 0 \) であることが示されました。

 

今考えたいのは、\( E=mc^2 \) ですが、これは、観測者の慣性系におけるエネルギーです。ゆえに、次に、観測者の慣性系でのエネルギーを考えるにあたり、エネルギーと何の関係があるのかもわからない得体のしれない4元力 \( f^{\mu} \) のままでは考察できないので、慣性系における力 \( F^i \equiv f^i/\gamma \) を導入します。つまりこれはニュートン力学における力です。

\( F^i \) は 4元力 \( f^i \) をローレンツ因子で割ったものだから、慣性系における通常の意味での「力」のようなもの?という類推はできますが実はこれがニュートン力学における力を表すものとして正しいかどうかは明らかではありません。果たして、その正当性を議論します。

相対論的な運動方程式は、

\[ f^{\mu} = \frac{dp^{\mu}}{d\tau} \]

でしたが、これを、\( d\tau = dt/\gamma \) に留意して、

\[ f^{\mu} = \frac{dp^{\mu}}{d\tau} = \frac{dp^{\mu}}{dt} \frac{dt}{d\tau} = \gamma \frac{dp^{\mu}}{dt} \]

とすることができます。すなわち、

\[ f^{\mu} = \gamma \frac{dp^{\mu}}{dt} \] です。これに、さきの、\( F^i \) の定義の式を代入すれば、

\[ F^i = \frac{dp^{i}}{dt} \] となり、

これはニュートンの運動方程式の形になっています。つまり \( F^i \) はニュートン力学における力です。しかし、ここで注意しなければいけないのは、\( F^i \) がニュートン力学における力であることは、実は自明ではないということです。

実は前の式ではニュートン力学における力であることをにおわせるように \( F \) の添え字を \( i \) としただけで、実際は \( F^{\mu} = dp^{\mu}/dt \) なのであり、この式の \( p^{\mu} \) は、定義上 \( m (dx^{\mu}/d\tau) \) であって、時間の変数として固有時間 \( \tau \) を使用している以上、\( p^{\mu} \) がニュートン力学における運動量を示しているとは言い切れません。また、\( F \) の第0成分 \( F^0 \) の意味も明確ではありません。

それでも、\( p^{\mu} \) の定義を用い、以下のように変形してみます。

\[ p^{\mu} = m \frac{dx^{\mu}}{d\tau} = m \frac{dx^{\mu}}{dt} \frac{dt}{d\tau} = (\gamma m)\frac{dx^{\mu}}{dt} = (\gamma m)\frac{dx^{\mu}}{dt} = (\gamma m)v^{\mu} \]

相対論的な高速で運動する物体に力を加えて加速するとき、ニュートン力学で考える \( ma \) よりも大きな力が必要になる、という実験事実があります。物体が運動すると質量が重くなるともいわれます。上の式で、\( p^{\mu} = (\gamma m)v^{\mu} \) を、慣性系において物体の質量が運動してるがゆえにローレンツ因子\( \gamma \) 分だけ重い \( \gamma m \) になったとみなした場合の、ニュートン力学的な運動量であると考えれば、これらの実験事実に対して合理的な説明を与えます。物体の質量 \( m \) は、運動をすると \( \gamma m\) になるのです。こうして \( p^{\mu} \) をニュートン力学において運動量としての意味を持てるものとして考えることができるならば、\( F^{\mu} = dp^{\mu}/dt \) も、ニュートン力学における力、と考えて問題はないことになります。議論はここで止めますが、つまり、

\( f^{\mu}/\gamma = F^i = dp^i/dt \) は相対論的な効果を含んだニュートン力学的な力です。

 

さて、ここまで、\( \eta_{\mu\nu}u^{\mu}f^{\nu} \) が 0 であることと、ニュートン力学的な力 \( F^i \) について述べました。

ここからがいよいよ本質的な部分です。

 

\( \eta_{\mu\nu}u^{\mu}f^{\nu} \) は 0 でしたが、この \( f^{\nu} \) に、ニュートン力学的な力の式を代入すれば、

\[ \eta_{\mu\nu}u^{\mu}F^{\nu} = 0 \]

となります。再び 解説A のところの \( u^0 \) と \( u^{\mu} \) を用いて上式の左辺を計算すると等式は、

\[ -\gamma c F^0 + \Sigma_i \  \gamma v^i F^i = 0 \] となります。

さらにこれは、

\[ cF^0 = \vec{v} \cdot \vec{F} \]

と書けます。

ニュートン力学のおさらいで、外力 \( \vec{F} \) がする仕事は \( dW = \vec{F} \cdot d\vec{x} \) だから、これを時間で微分して \( dW/dt = \vec{v} \cdot \vec{F} \) 。ここは、\( \vec{v} \) で運動するボールに力 \( \vec{F} \) を加えて \( d\vec{x} \) 動かしたときの仕事が、\( dW \) であると考えていいところで、その仕事 \( dW \) はそのままボールのエネルギー \( E \) の増加 \( dE \) に充てられるはずだから、\( dW = dE \) となります。

 

まとめると、さきに \( F^i = dp^i/dt \) が得られているので、

\[ cF^0 = c \frac{dp^0}{dt} \]

また、\( cF^0 \) は、

\[ cF^0 = \vec{v} \cdot \vec{F} =\frac{dW}{dt} = \frac{dE}{dt} \]

でもあります。よって、これら2つを等式で結べば、

\[ c\frac{dp^0}{dt} = \frac{dE}{dt} \]

が言え、ということは、

\[ E= cp^0 \]

であることが言えるのです!\( p^0 \) はなんであったかというと、4元運動量の第0成分であって、定義から考えれば

\[ p^0 = m \frac{dx^0}{d\tau} = m \frac{d(ct)}{d\tau} = m\gamma c \]

となるので、結局、

\[ E = cp^0 = m\gamma c^2 = \frac{mc^2}{\sqrt{1-(v/c)^2} } \]

となります。

\( E=mc^2 \) というのは静止エネルギーのことだから、上式に \( v = 0\) を代入してみれば、静止エネルギーの式である \( E=mc^2 \) を導くことができました!!

また、\( E=mc^2 \) を導く過程の最後で、\( cp^0 = E \) であることもわかりました。4元運動量ベクトル \( ( p^0, p^1, p^2, p^3 ) \) は、物理的意味の分からなかった \( p^0 \) を、意味が分かるように書き換えて、

\( ( p^0, p^1, p^2, p^3) = ( E/c, m\gamma v^1, m\gamma v^2, m\gamma v^3 ) \) のように 表記することも可能となりました。相対性理論にエネルギーの概念を持ち込むことに成功した、ということもできます。これは大変有意義なことです。

 

よくあるおまけですが、

\( E = mc^2/\sqrt{1-(v/c)^2} \) で、\( v \) が \( c \) にくらべて十分小さいとき、

\[ mc^2 \frac{1}{\sqrt{1-(v/c)^2}} = mc^2\{1+\frac{1}{2}(v/c)^2\} = mc^2 + \frac{1}{2}mv^2 \]

と展開でき、ここに、ニュートン力学の運動エネルギー \( (1/2) mv^2 \) を見ることができます。ここでは、相対論的な全エネルギーが、静止エネルギー+運動エネルギーの形に、見事に分割されています。

 

以上です!

 

超おまけ:テンソルのところのやつ

\( \eta_{\mu\nu} \) はミンコフスキー計量テンソルで \( \mu = \nu \) 以外では 0 ですが、それだと以下の計算がなりたたないので、ここでは別のテンソルとして、\( \eta_{12} \) など \( \mu \neq \nu \) の場合でも 0 でない値を持っていると考えてください。

\[ \eta_{\mu\nu}u^{\mu}m\frac{du^{\nu}}{d\tau } = \frac{1}{2}\eta_{\mu\nu}m \frac{d(u^{\mu}u^{\nu})}{d\tau} \]

\( \eta_{12} \) の項について考えてみましょう。

左辺では \( m \eta_{12}u^1\dot{u^2} \)、右辺では \( (1/2)m \eta_{12}(u^1\dot{u^2} + \dot{u^1}u^2 )  \) です。この2つに等号は成り立ちません。

では、\( \eta_{21} \) の項についても見てみます。

左辺では \( m \eta_{21}\dot{u^1}u^2 \)、右辺では \( (1/2)m \eta_{21}(u^1\dot{u^2} + \dot{u^1}u^2 )  \) です。

この2つを足し合わせたものを考えると、

左辺の方は \( m ( \eta_{12}u^1\dot{u^2} + \eta_{21}u^2\dot{u^1} ) \)、右辺の方は、\( (1/2)m (\eta_{12}+\eta_{21}) (u^1\dot{u^2} + \dot{u^1}u^2 )  \)

テンソルが対称テンソルであれば \( \eta_{12} = \eta_{21} = n \) とおけるので、

左辺のこの部分の寄与 = \( mn \)\((u^1\dot{u^2} + u^2\dot{u^1}) \)

右辺のこの部分の寄与 = \( m \times (1/2) \times 2n \)\((u^1\dot{u^2} + u^2\dot{u^1}) \)

であることから両者は等しく、このようにして和全体も等式が成り立つことになります。テンソルが対称でなければ、

\[ \eta_{\mu\nu}u^{\mu}m\frac{du^{\nu}}{d\tau } = \frac{1}{2}\eta_{\mu\nu}m \frac{d(u^{\mu}u^{\nu})}{d\tau} \]

は成り立ちません。

未分類

Posted by tsukikage